栃木県足利市のトータルヒーリングリラクゼーション「ここち」全身もみほぐし60分3,000円

お熱いのがお好き?

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15. お熱いのがお好き?

ササピー支配人の部屋へ行く?

「たまには他人が入れてくれたティーでも頂きますか。」

独り言のように呟き乍ら早足で僕の前をどんどん歩いてゆく。

やがて広く丸いドーム状の広場のような所に着いた。

僕の部屋へ行く?

「こんな所まであったなんて・・・」





ササピー支配人の部屋へ行く?

「ここが丁度船の中央付近ですよ。ほら、真ん中の太い柱があるでしょ?あれがマストの基底部ですよ。」

指さす先には大人が2人がかりでようやく抱けるような直径の柱が見えた。

僕の部屋へ行く?

「・・・・・」

それにしてもこの広さと言い、天井の高さと言い、僕の知ってる洗濯船とはかけ離れていた。
むしろ豪華客船並みの空間だった。
きっとこれも『ニナール理論』のなせる業なのだろう。

そんなことを考えていたらいつの間にか笹川さんは、ゆったり通行している人を掻き分けて、向うの壁側にあるスタンドバーのような一角に行ってしまっていた。
その一角だけが低い植物の鉢植えで仕切られている。
壁があるわけではないのでカウンターに座っている客が丸見えだった。
笹川さんはそのカウンターにちょこんと座ると僕をちらっと見て手招きした。
近づいてみるとカウンターの内側には綺麗なお姉さんがバーテンと言うかスナックのママと言うか、そんな感じでカクテルやソフトドリンクを客に出している。

この船で見た初めてのまともな女性だった。
しかも仕草に品格が漂っている。
ノー天気眼鏡宇宙娘とは雲泥の差、いや、月とスッポン、いやウンチとダイヤモンドくらい違っていた。

ササピー支配人の部屋へ行く?

「まだお日様も高いからティーにしといたよ。」

笹川さんはそう言いながら自分の隣の席に僕を促す。

僕は若干緊張している。
何と言ってもこの半年ほどで初めての女性、しかも上品な美人ときている。
緊張しない方がおかしいくらいだ。
足長椅子を引き腰をかける・・・はずだったが緊張のためにお尻が半分しか乗り切れずバランスを崩して椅子ごと床に転んでしまった!!
顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。
耳の端っこまで熱い!!

ササピー支配人の部屋へ行く?

「何を緊張してるんですか?はは~、ママが綺麗だからですねぇ。」

ちょっと意地悪そうな流し目で僕を冷やかす笹川さん。

僕の部屋へ行く?

「ち、違います!朝から慣れない仕事でちょっと足が攣っただけです!」

今更何を言っても信憑性が低いことは分かっていたが思わず言い訳してしまった。

そんな僕をチラッと見てニコッと微笑んでくれるママさん。
年はいくつなんだろう?
20代後半?
いや、それにしては大人の魅力が有り過ぎだろ?!
僕と同じくらいかな?

目の前の紅茶のカップの端っこをぼんやり眺めながら空想が空回りしていた。

竹子の部屋へ行く?

「はじめまして?」



僕の部屋へ行く?

『大人だ~~っ!!』

声も想像以上に魅力的だった。

僕の部屋へ行く?

「は、は、はじめまし・・・」

緊張のあまり喉がカラッカラッになっていたので、最後まで声が出ない。
慌てて紅茶のカップを取り上げ口に運ぶ。

僕の部屋へ行く?

「あちっ!っつ~~~!!ぶほっ!!」

猫舌の僕は紅茶の熱さに思わず咽び、殊もあろうか吹き溢してしまった。

僕の部屋へ行く?

「あ、す、すいません!!」

ヒリヒリする唇をおしぼりで拭いながら謝る。

ササピー支配人の部屋へ行く?

「へぇ~、案外君ってオボコいんだねぇ~!」

隣で笹川さんが意外そうにしている。
ママが冷や水をグラスに入れて出してくれたのを一気に飲んだ。

竹子の部屋へ行く?

「大丈夫ですか?」



僕の部屋へ行く?

「だ、大丈夫です!」

ついさっきまで海賊に襲われる恐怖に曝されていたことなどすっかり忘れてしまっていた。
第一印象はきっと『ドジな男』になってしまっただろうと思うと自分自身にしっかり失望していた。
とにかく今日の所は早くこの場を退散したい気持ちで一杯になった。

笹川さんは美味しそうに紅茶を啜っていたが僕の胸中を察したように一気に残りを飲み乾した。

ササピー支配人の部屋へ行く?

「さあ、そろそろお灸がきいたころかな?」

そう言うとひょいと足長の椅子から降りて、元来た方へ歩き出した。

すぐに振り返りママに軽く手を上げ、その手で僕を手招きした。

正直、救われた気分だった。
僕も急いで彼の後を追った。
そして笹川さん同様、少し離れた所からママを振り返り手を挙げて『じゃ、また!』と挨拶をしたが既にママは他の客の方を向いて僕の方は見ていなかった。

僕の部屋へ行く?

『ちきしょう!自分のバカ!!』

自分の小心さを心から呪った。
そうしてる間も笹川さんはどんどん先へ行ってしまっていた。

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