栃木県足利市のトータルヒーリングリラクゼーション「ここち」全身もみほぐし60分3,000円

恋愛バトル勃発!!

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20. 恋愛バトル勃発!!

年の瀬も押し迫った頃になってようやく僕はこの『ニナール理論』の大体の法則のようなものを掴むことが出来るようになっていた。

例えばこうだ。
『ニナール理論制御装置』を装着している時に新しい空間を作る時は、壁に向かって「あたかもそこに扉が存在するような」動きで『見えない扉』を開けると、
その動きにぴったりの扉が出来て、新しい空間(部屋)が誕生する。『初期設定』では6畳間2部屋分くらいの部屋が自動生成されるようだ。
確かに、海賊に襲われた時、笹川さんが食堂の壁に向かって『誕生』させた部屋も丁度そのくらいだった。

そして『ニナール理論制御装置』で空間を拡張したり、創造した場合、その空間が『開かれている』と普通の人間もその空間を当たり前に認識して入ることが出来る。
閉じられているとオニナール溶液を飲むか『ニナール理論制御装置』を装着していないかぎり、見ることも触れることも出来ない。

そう、『酒宴をこよなく愉しむ会』の時の甲板や、新メンバーとの朝食時の食堂のように開かれている時に限り僕にも見えたように。
ただし、ここで重要な注意事項がある。

『一般人』も入って来ることは出来るが、僕の時のように、オニナール溶液を飲むか『ニナール理論制御装置』を装着しておかないとすぐに激しい頭痛に襲われる。
さらにその空間が『閉じられてしまう』と、あの気の毒な海賊よろしく『激しすぎる頭痛で気絶』してしまうそうだ。
笹川さんはここらを熟知していたんだと今頃になって知った。

他にもメンバーが日ごろは何をしてる人でどんなキャラクターか少しずつだが分かってきた。
詳細は『船員部屋』を参照してもらいたい。
また、宇宙人娘やオペラ青年が乗ってきた大型船は彼らが洗濯船に乗っている間は自動曳航プログラムで付かず離れずの距離を保って勝手に付いて来るらしい。

それから、僕ら『メンバー』以外にも沢山の『お客様』が乗船しているが、一体彼らは何が目的でこの船に乗っているのかは正確には判らない。

船長の部屋へ行く?

『この船が洗濯船だから洗濯して貰いに来たんだろ。』と面倒くさげに船長は答えるだけだし。

確かに日々大量の彼らの洗濯物を洗濯しては、帆の代わりにマストに吊るす仕事はやらされている。
それを夕方には取り込んで、クリーニング室に持ち込む。
もちろん雨の日はこの限りじゃない。
後は僕の仕事じゃないので詳しくは知らない。

しかしそんな洗濯代やクリーニング代だけで、豪華客船並みのお客の胃袋を満たすほど稼げるとは思えない。
もちろん宿泊代他も貰っているはずだが、そうなると彼らお客様は毎日洗濯をしてもらうために高額(かどうかは知らないけど)の乗船料を支払っていることになる。

それに『洗濯をしてもらうために乗船する』という動機も今一つ理解できない。

そもそも彼らが働いているとは思えなかった。
日がな一日、船の中のあらゆる施設で楽しんでいるだけに見えた。

僕の部屋へ行く?

結局、僕が下した結論は『お金持ちばかりがこの船でバカンスを過ごすために乗船し、我々は主に『洗濯物』と『宿泊料』で稼がせてもらっている。』ということで勝手に納得することにした。

今のところ、別段『違法行為を裏でやっている』という感じでもないし、また、それが出来るような客層でもなかったので、とりあえず安心はしている。

そんなことより今の僕には喉から手が出るほど欲しい情報があった。
そう、竹子ママに関する情報だ!!
彼女の情報はどんな秘密よりも厳重に守られていて、年齢・本名・出身地・親兄弟など個人情報はまるで入って来なかった。
しかし少しは進歩があった。

それは彼女たちの話言葉がどうやら『鹿児島弁』らしいということだ。
ここ最近、僕も少しずつだが使うようにしている。
が、そんなときに限って皆は標準語で答えて来る。
なかなか練習が進まず頭を痛めている。
クリスマスも近いのに、竹子ママとの距離は開いたままだった。
それにもう一つ頭の痛い問題が・・・。

それは、小野先生もどうやら竹子ママを狙っているようだということだった。
しかも小野先生は鹿児島弁をマスターしてるようで竹子ママとは僕より親密に話しをしているようなのだ。

思わぬ恋敵の出現に僕の心の中では、ザワザワと嫉妬の嵐が吹き荒れていた。

                                                               

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